第十一章 子持ちシシャモとは?

【左】カラフトシシャモ(子持ちシシャモ)。索餌期のものを漁獲するので脂がある。
【右】釧路産シシャモの生干し。脂が多い時期には漁獲しないので脂肪は少なめ。

【左】カラフトシシャモ雌(上)と、シシャモ雌(下)。
【右】拡大図。カラフトシシャモ(上)は鱗が細かく、銀色が強い。

本州の居酒屋でもメニューに「シシャモ」あるいは「子持ちシシャモ」が載っていますが、本当のシシャモは1,300トンほどしか漁獲されておらず、とても本州の居酒屋チェーンに出回る量はありません。その魚の正体は標準和名でカラフトシシャモ、英名ではCapelin(カペリン)と呼ばれる魚です。北海道にもわずかに生息しますが、市販品は全てが輸入品です。ウロコがきわめて小さく、体が銀色なので、よく見るとシシャモとは簡単に区別できます。輸入統計での名も「シシャモ」なので大変まぎらわしく、カラフトシシャモと本当のシシャモを混同している人もいるようです。

カラフトシシャモは生干し冷凍製品として年間30,000トンほど輸入されています。スーパーなどでの商品名は主に「子持ちシシャモ」ですが、水産庁の魚介類名称のガイドラインは標準和名の「カラフトシシャモ」の使用が原則とされています。2002年には世界で4番目に多く獲られ、漁獲量は196万トンです。日本の主な輸入先は漁業国のノルウェー、アイスランド、カナダなどです。

カラフトシシャモは遡河回遊を行わない海産魚で、沿岸にも沖合いの堆にも分布します。産卵期になると沿岸の波打ち際や堆の浅瀬に大群をなして押し寄せます。成熟開始年齢は3歳で、3~4歳が産卵の主体です。産卵後も死なずに複数回産卵する魚もいますが、5歳以上の魚は希で、寿命は7歳前後と考えられています。日本に食用加工品として輸入されているのはほとんどが雌。そのため子持ちシシャモと呼ばれています。フィシュミール、養殖さけ、ますの餌、釣り餌などにも多く利用されます。雄はほとんどがこれらの原料に回されているのでしょう。他のシシャモの代用品としてはキュウリウオの小型個体が販売されることがあるようです。

第十章 シシャモのふ化事業のあゆみ